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博士と三好くん。そして僕。

(小説)博士と三好くん。そして僕が織りなす日常。

第4話:死体

その男は、海に打ち上げられていた。

誰も名前は知らない。

それは真冬で、仮に濡れていなくても浜辺で一晩過ごせば凍え死ぬ。

早朝に小型犬とウォーキングをしていた初老の男性が、見つけたのである。

最初は、小型のイルカか何かかと思ったらしい。

その男性は、可哀想にと心に思いながら近づいた。

しかし、そこには人間が横たわっていたのである。

息をしている様子はない。初老の男性は慌てた。それ以上、自分で何かを確かめるのは怖くなったのだ。

急いで救急車を呼ぶ。

もう既に遅かった。やがて昼ごろには救急車はパトカーに替わっていた。

打ち上げられていた男に所持品は何もなし。しかし、彼はスーツ姿だった。

かろうじて分かったのは、スーツの上着に”MIYOSHI”と名前が縫い付けられていたことだけだった。

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第3話:亜人

群れという習性を持つのは、知能に比例するだろうか。

単純な群れを形成することは、小魚にもできる。

そう考えると、単純に知能が高い低いによって、群れが形成されるとは考えにくいだろう。

しかし、コミュニティーとして、つまり意思疎通を行う思考が絡んでくると、それは異なってくる。

同じ知能を持った者同士として、コミュニティーを形成することになる。

先ずは同じ種類の動物としてつながりを持つ。

他の種類の動物は敵とみなすか、または自分の獲物と考えるだろう。

次に、その中に、些細な違いを見つけ出しコミュニティーは細分化を始める。また、何故か優劣を比べ始める。

しかし、同等の知能を持っていながら、どの細分化したコミュニティーにも属せない者はどうなるのか?

味方? 敵? 獲物?

神話の中では、中間に属する者達は多くいた。しかし、彼らは容姿が異なり、同じコミュニティーを形成できなかった。

現実問題それが発生したら、自分一人で生きることを選ぶのか。

それとも、何かしらの融和を求めて、コミュニティーに属することを願い、努力を続けるのだろうか。

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第2話:博士との出会い

ある日、起きた時。

今までの記憶が全てなくなったら、人はどのような行動をとるだろうか。

本当に脳の中の全てのデータが消失したら、人は何を始めようとするのだろう。

過去を思い出そうと努力する?

自分が何者なのか思い出そうとする?

それとも、今自分はどこにいるのかを確認するだろうか?

僕が思うに、きっと「過去を思い出す」という作業はしないと思う。

そういった疑問さえ発生しない。

生まれたての赤ちゃんに戻るだけだ。

では、その人が生きようと思うのは何のためか。

その原動力はなんだろうか?

きっと、好奇心が彼を生かせる力となるだろう。

その「人」は未来だけを見続ける。

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第1話:歯車を壊した日

人形が仮に人の言葉を覚えて、自分と会話が成立した場合。

その人形は、「物」なのか、それとも「人」なのか。

感情とは、その人の脳で生成されるとは言うけれど、生成されても黙って立っていたら、それは感情をもった「人」なんだろうか。

何かを表現し、相手の心を揺さぶる「物」の方が、よっぽど「人」に近いと思うのは僕だけだろうか。

そう思うと、自分は果たして、「物」なのか「人」なのか。

「人」は何をもって、「人」たらしめるのだろうか。

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